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自宅で観た映画や読んだ本の感想

サム・ライミ版 映画「スパイダーマン」シリーズ 感想

作品概要

filmaga.filmarks.com

感想 ※ネタバレを含みます

第1作『スパイダーマン

お前の年頃でどう変わるかで一生をどんな人間として生きていくかが決まる。どう変わるか慎重に考えろ。…...忘れるな、大いなる力には大いなる責任が伴う。

異世界の侵略者から人類を守る」「地球や銀河の存亡をかけて戦う」といった壮大な物語のヒーロー映画は、世界観の表現も豊かで観ていて楽しくワクワクします。しかし本作はそのような大規模なものではありません。

子供のころからベタ惚れな女の子メリー・ジェーン(MJ)のことで一喜一憂する青年ピーターが、冒頭に引用したベン叔父さんの言葉を教訓に、助けを求めている街の人々のために手にした超人的な力を使おうと奮闘する等身大な物語です。ヒーローのオリジンとして「スパイダーマンとは何者か」がドラマチックかつシンプルにまとめられていて、彼の親しみやすい魅力も伝わってきて、繰り返し観ても飽きません。

第2作『スパイダーマン2』

スパイダーマンにピーターとしての人生をどこまで犠牲しなければいけないのか」

本作は二重生活を送るピーターの葛藤や苦悩が全般的に描かれていて、とても切ない物語だけど、ライミ版全3作の中で最も好きな映画です。

ピーターがMJの恋人ではなくスパイダーマンの道を選んでから2年が経ち、市民から「スパイディ」というニックネームで親しまれ、大学とヒーロー活動に忙殺されつつも二重生活を何とか両立させていました。しかし、そのバランスが崩れ「スパイダーマン」がピーターの私生活に悪影響を及ぼし始めていた......と、冒頭から幸先が不安です。以降もピーターの人生に明るい兆しがなかなか見えてこず、私も切なくなりました。

そして、悩んだ末にピーターはスパイダーマンを引退してしまいます。そんな彼にメイおばさんが「スパイダーマンが必要な理由」を伝えます。この台詞がこの上なく素敵で心にしみ入りました。

また、前作にも市民が団結してスパイディを助ける場面がありますが、今回はより一層胸を打つ素晴らしいものでした。

第3作『スパイダーマン3』

今やスパイダーマンニューヨーク市民から愛される人気者になり、学業もMJとの交際も順調でピーターは人生の春を謳歌しているといった様子。その矢先に問題が発生します。一筋縄ではいかないヴィランが3人も現れる上に、ピーター・MJ・ハリー3人の人間関係が徐々に拗れて壊れてしまうのです。

まず、一番難しいことをしなさい。自分自身を許すの。

と、怒りや憎しみに駆られてMJを傷つけてしまったピーターにメイおばさんが優しく語りかける場面の後、ピーターは最終決戦へと向かいます。そこでピーターはベンおじさんを殺してしまった真犯人を許し、そして過ちを犯した彼自身もハリーから許しを受けるという結末。本作のテーマは「許し」だと思いました。シリーズ最終作として、1作目で生じてしまったピーターとハリーの確執を筆頭に複雑な人間関係と、複数のヴィランをひとつのストーリーにまとめているのが見事でした。

ただ、ヴェノムがちょっと割を食っている気もしますが...

 

また今回、久々にシリーズ全3作品通して観たら、描かれる女性像の変化に気づいて大変興味深かったです。MJに対して今まで抱いていたモヤっとした印象は、背景や成長といった彼女のドラマがストーリーに不足しているところにあるとわかり、見直してよかったです。