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自宅で観た映画や読んだ本の感想

映画『シンドラーのリスト』感想

作品概要

スティーブン・スピルバーグ監督が、ナチスによるユダヤ人大虐殺から多くの命を救った実在のドイツ人実業家オスカー・シンドラーを描いた名作。1939年、ナチスドイツ占領下のポーランド。戦争を利用して一儲けしようと狙うドイツ人実業家シンドラーは、軍の幹部に取り入り、ユダヤ人の所有していた工場を払い下げてもらう。軍用ホーロー容器工場を立ち上げた彼は、安価な労働力としてユダヤ人たちを雇い入れ、事業を軌道に乗せていく。しかしナチスによるユダヤ人の迫害は日ごとにエスカレートし、ついに虐殺が始まる。凄惨な光景を目の当たりにしたシンドラーは、私財を投じて彼らの命を救うことを決意する。リーアム・ニーソンが主演を務め、レイフ・ファインズベン・キングズレーが共演。第66回アカデミー賞で作品賞など7部門を受賞し、スピルバーグは初の監督賞を獲得した。

引用元 シンドラーのリスト : 作品情報 - 映画.com

本作を観ようと思ったきっかけは『スローターハウス5

映画『Everything Everywhere all at once』のパンフレットを読んでいた時、アメリカ人作家カート・ヴォネガットの存在を知りました。そして今、彼の半自伝的長篇『スローターハウス5』を読んでいる最中です。ドイツ系アメリカ人のヴォネガットは、従軍した第二次世界大戦にてドイツ軍の捕虜となり、抑留されたドレスデンにて連合軍の無差別爆撃を経験しました。その戦争体験が『スローターハウス5』で描かれています。戦争文学に触れ、精神面の覚悟が整ったため本作を観ようと決めました。

感想 ※ネタバレを含みます

タイトルの「シンドラーのリスト」とは、強制収容所にいる大勢のユダヤ人を救うために、彼らをシンドラーの工場の労働者にするという名目で作られた名簿のことです。

また、映画冒頭では、ポーランド国内各地からクラクフへ強制的に移動させられた大勢のユダヤ人一人ひとりに「名前は?」と尋ねて名簿を作る場面があり、それからも所々で名前を呼んだり書いたりする印象的な場面がありました。

日ごろ、何気なく名前を呼んだり呼ばれたりしているけれど、今回、本作を観て「名前」はとても大事なアイデンティティのひとつだと改めて気づかされました。

形のあるなしは関係なく、何であろうと奪えるもの全てをユダヤ人たちからナチスが理不尽に奪い、人々を情け容赦なく窮地に追い込んでいく様はとにかく「凄惨」の一言です。そして「名前」が強調されていることで、映画との精神的な距離感が近づいて、その残酷さがより一層、心に重くのしかかりました。

戦争に限らず、どのような形のものでも、一方の人間が力づくでもう一方の人間から奪い取ったり傷つけたりするようなことは1日でも早く終わってほしいし、1つでも減ってほしいです。